ぼくと目の見えない内田さんがであったはなし
児童文学評論家として活躍中の赤木かん子先生のLLブック。
【内容】
目の見えない人が、街で感じていることって…?
主人公の少年が自販機の前で出会ったのは、全盲の「内田さん」。コーヒーのボタン探しを手伝ったことをきっかけに、普段どんなふうに街を歩き、どんなことに困っているかを教えてもらいます。全盲の方と知り合いになる機会がなかった人に、実在の視覚障害者の体験を伝えます。
【この本をお読みになるかたへ】
マイクロアグレッション、ということばがあります。相手をバカにしてやろう、とか、いじめてやろう、と思って言うのではない“無意識の差別”という意味です。言ったほうは自分が悪いことをしている、などとは思っていません。でも、言われたほうはたいへん苦しくなります。だって、言った人は悪気があって言っているわけではないというのはわかりますから、傷ついた、と言ってもいいのか、とためらってしまうからです。
言われて傷つく自分のほうが考えすぎなのかなぁ、と思ってしまいます。でも、確かに痛かったのに……。
この本の6ページの先生は「目の見えない人がいたらお手伝いしましょう」と言っています。このことばに、えっ? と思いますか? これが、マイクロアグレッションです。
この先生は、目が見えない人は全員困っているはず、と自分がそう言っているとは気がつかないで言っているわけですが、目の見えない人がいつもいつも全員困っているわけではないでしょう。
目の見えない人=困っている人 というのはマイクロアグレッションなのです。
目が見えていても見えなくても、困っている人は困っている、困っていない人は困っていない……。
この本の主人公、佐藤くんは、先生のことばを聞いて、ちょっと変な気持ちになりました。でも、それがなぜなのかはその時はわかりませんでした。この本は、もちろん目の見えない人にあったときになんて言えばいいのか、についてのお話なのですが、同時に佐藤くんが内田さんに会って、「初めに困っているかどうか見て!」と言われて、そっか、そうだよね、とちょっとスッキリする物語でもあるのです。(著者:赤木かん子)
作 | 赤木かんこ |
絵 | 濱口瑛士 |
発行日 | 2021/4/30 |
ISBN | 978-4-86596-405-9 |
発行元 | 社会福祉法人埼玉福祉会 |
サイズ | 菊版変形 |
ページ数 | 40P |
<赤木かん子>
児童文学評論家。1984 年「本の探偵」でデビュー。
以来、子どもの本を中心に本や文化の紹介、書評、講演など、幅広い分野で活躍中。
図書館の改善運動にも積極的で、特に小中学校の図書館の活性化にも努めている
赤木かん子ホームぺージhttp://www.akagikanko.net/
<挿絵画家 濱口瑛士>
画家。2002年東京世田谷区生まれ。「異才発掘プロジェクトROCKET」第1期スカラー候補生。
3歳ごろから絵を描き始める。ディスレクシアのため文字を書くことを苦手とするが、言語IQは133あり、物語を作ることも得意。